Amazon FBA で商品を納品する時、商品ラベル PDF の右横に「Made in China」の文字を追記する作業がある。1商品なら数秒だが、毎週数十件を処理していると 25分近くかかる。同じ位置に同じ文字を入れるだけの単純作業で、集中力の使いどころではない。
これを Python で自動化して、Mac 版と Windows 版のスタンドアロンアプリとしてビルドした実装ログを共有する。
そもそもの問題
FBA 納品前のラベル作業は、こういう流れで進む。
- Amazon セラーセントラルから商品ラベル PDF をダウンロード
- PDF を Preview や Acrobat で開く
- 「新品」表記の右横に「Made in China」を手入力
- 保存
- これを商品数だけ繰り返す
10商品なら 10回、30商品なら 30回。1件2分でも 20〜60分になる。
しかも人力なので、以下のミスが常につきまとう。
- 入力位置がズレる
- 別 PDF に上書き保存してしまう
- 「Made in China」を「Made in Japan」と typo する
- そもそも追記を忘れる
毎回同じ作業で、毎回同じミスの可能性を抱える。自動化する価値は明確だった。
作ったツールの要件
以下を要件にした。
- 元 PDF を絶対に上書きしない(
_labeled.pdfとして別名保存) - 複数 PDF を選択して一括処理
- 追記文言は「Made in China」以外にもGUI から変更可能
- Mac / Windows 両方で動く(Python 未インストール環境でも起動可能)
- インターネット接続不要(ローカルで完結)
「あらゆる Amazon 業務を自動化する万能ツール」を作るのではなく、毎週の追記作業だけを短縮する専用ツール に絞ったのがポイント。範囲を絞ることで、ユーザー側の学習コストもゼロに近い。
設計上の判断
1. 別名保存を強制する
これが最重要の設計判断。
input.pdf → input_labeled.pdf を同じフォルダに生成
(元の input.pdf はそのまま残る)
同じフォルダに _labeled サフィックス付きで並べる。これで、うっかり間違って上書きしても元データが失われない。
「元 PDF を上書きするかしないか」をユーザーの選択に委ねる設計にすると、いつか事故が起きる。選択肢を用意しないこと自体が安全設計。
2. 追記位置は座標指定
Amazon FBA の商品ラベル PDF は、決まったフォーマットで「新品」表記が右上にある。ここに対して固定オフセット(右方向に一定 pt)で「Made in China」を描画する。
PDF テンプレートが変わったら追記位置もズレるが、Amazon 側のフォーマット変更は稀なので、当面は座標指定で十分と判断した。フォーマット変更に対応する場合は、テキスト抽出で「新品」の位置を動的に取得する版に切り替える予定。
3. GUI をつけた(CLI で終わらせなかった)
技術者ならコマンドライン版で十分だが、想定ユーザーは非エンジニアの Amazon セラー。Python の実行環境を要求しない、ダブルクリックで起動する GUI アプリにビルドした。
- Mac:
.appにバンドル - Windows:
.exeにビルド
どちらも Python 本体のインストール不要で単体動作する。
4. 「できないこと」も明示する
商品説明で「できないこと」を明示するのは、返品/クレーム回避の意味でも重要。以下は非対応と決めた。
- FNSKU ごとに個別の文言を出し分ける(全ラベル共通のみ)
- 法人向けライセンス管理
- Google スプレッドシート連携
- Amazon 業務全般の自動化
「できます」を増やすほど、実装コストと保証責任が増える。対応範囲を狭く保つこと自体がプロダクト設計。
得られた時間
導入前後で計測した結果:
| 項目 | Before | After | |---|---:|---:| | 1回あたりの所要時間 | 約25分 | 約5分 | | 週1回 × 4週 | 100分 | 20分 | | 月あたりの回収時間 | — | 約80分 |
月80分を、出品・仕入れ・顧客対応に戻せる。これが本ツールの実質価値。
使い方(3ステップ)
- アプリを起動する
- 処理したい PDF を選択 + 追記文言を入力
- 「処理開始」→ 元 PDF と同じフォルダに
_labeled.pdfが生成される
コマンドライン知識は不要。ファイルを選ぶだけ。
サポート範囲
- 使い方ガイド同梱
- 購入後 30日間の初期不具合サポート(メール対応)
- 特殊な PDF フォーマットは個別確認
販売
先行30本の買い切り価格(¥9,800)で販売中。Mac 版 / Windows 版どちらも同価格。
- 商品詳細: /ja/works/amazon-label-tool-pro/
- 販売LP + 特商法表記: AmazonラベルツールPro(Netlify)
「うちの業務にも同じような自動化を」という方へ
Amazon FBA 以外の業務でも、「毎回同じ手作業を繰り返している」ものはたいてい Python で自動化できる。ただし、対象業務のフォーマットや操作フローを正確に把握しないと、汎用ツールを作っても現場で使えないものになりがち。
「うちの業務ではこういう手順を毎週やっている」を細部まで共有してもらえれば、専用ツールとして設計・実装します。
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